結婚相談所物語

恋愛=結婚?

「卵が先か鶏が先か」


とはよく耳にする問答です。


でも私たちアドバイザーには


こんな問答がつきまといます。


「経験が人を作るのか人が経験を誘うのか」


経験するということを


ポジティブに考えた先に結婚があった、


そんな日常を目の当たりにしていると、


どうしてもこの問答が浮かぶのです。




恋愛の経験がないので、


と恥ずかしそうに言う人がいます。


そういう人はたいがい、


恋愛=結婚という等式が当たり前であるような、


商業ベースのキャッチコピーが刷り込まれています。


恋愛経験のない自分には結婚は難しいのではないか、


恋愛できなければ先に進めないのではないか


と不安に思うのでしょう。


しかし、人と人が一緒にいられる根拠に


恋愛感情しかないという法則はどこにあるのでしょう。


例えば友情。


初めましての瞬間には何の感情は無くても、


会話をし行動を共にしていくうちに


気心知れた仲になっていくではありませんか。


例えば親子。


我が子とはいえ誕生したばかりでは


未知の相手に時には苛立ち時には対立しながらも、


気がつけば無償の愛の対象になっているではありませんか。


大切なのは、


どんな相手にせよ付き合いの経験を積もうとする気持ち、


そしてその目的を間違えないことなのです。


共に恋愛経験のない男女がいました。


彼は真っ正直なあまり、


恋愛感情のない交際はいけないことのように思っていました。


一方の彼女は恋愛に憧れ、


自分で勝手に夢想した交際の形を追い求めていました。


だから、現実の交際に関して彼は下手、


彼女は踏み込むことすらできない、


そんな状態でした。


そこで二人には、


それぞれの"経験"を積んでいただくことにしたのです。




彼には、ドラマのように迸るような感情が


必ずしも結婚には必要ないということを理解してもらうため、


交際を一歩一歩積み重ねていきながら


自分の感情の変化を見つめる経験。


彼女には、


小説のように甘い恋愛が


必ずしも幸せな結婚の条件ではないことを理解してもらうため、


現実の交際を通して


日常の中にもひそんでいる喜びを見つける経験。


ヒートアップとクールダウンと、


アプローチの仕方は違いますが、


ただ一つ、


二人に共通して守ってもらったのが、


現実の結婚を目的にするということでした。


時には背中を押すこともありましたが、


彼も彼女も経験するごとに、


まさに経験が人を作るが如く変わっていき、


ついに恋愛経験のなかった二人が


結婚するという共通の経験にまでたどり着いたのでした。


二人は口を揃えて言います。


「貴重な経験をさせていただきました」


確かに経験を通して今があるのですが、


これからは、


どのような経験をしていくのかも二人で決めていくことになりますね。


結婚生活は二人の経験の積み重ねによって築かれていくものですから。


是非ともいい経験を選んで引き寄せ積み重ねて、


二人で幸せを築いていかれることを願っています。


マリッジ・コンサルタント 山名 友子