結婚相談所物語

夢子さんの恋 PART1

情報誌登録の〆切日、


まだ5時だというのに窓の外はすっかり日暮れて、


足早に秋の到来を告げている。


にっこり微笑む彼女のプロフィールを外す。


安堵とともに一抹の淋しさがこみ上げてくる。


ついにこの日が来たのか、と。


いつものことながら、


情報誌の入れ替え日に会員が寿退会するのはもちろん嬉しい。


短い期間でその日を迎えられれば尚喜ばしい。


活動が長引けば不安と焦燥が募って


その人のいいところが影を潜めがちになる。


短ければ短い程喜ばしいことには違いない。


でも彼女はそうではなかった。


プロフィールを何度更新しただろう。


その度に愛らしく微笑んで初々しく写った彼女がいた。


その時はその時で、


なかなか決めてあげられない自責の念に苛まれたものなのに。


約7年、オギャーと生まれた赤ちゃんが読み書きを学ぶまでの歳月。


彼女は恋に憧れ恋を夢見て、


いつも鷹揚に、だけど相手選びには厳しく、


自分の思いを貫いた。


彼女、仮に夢子さん。


夢子さんが7年越しの恋のお相手探しに


ようやく終止符を打ちました。


次回の話を読む


マリッジ・コンサルタント 山名 友子