結婚相談所物語

子育ての仕上げ 中編

何となく気持ちが揺らぐ。


娘はそんなことには頓着なしで、


交際してみると言う。


私は彼とは会っていないから


彼の人となりはわからない。


だけど医者にならなかったという部分だけが


やけに引っかかる。


娘に、


ねぇ、どうして医者にならなかったのか聞いてみてよ、


と言ってみたが、


そんなこと聞ける訳ないでしょ、


と嫌がられた。


でも私はどうしてもそのことが


頭から離れないで気になっていた。


ある日、結婚相談所のアドバイザーから連絡があり、


サロンを訪ねた。


娘たちの交際が順調で


そろそろ意思を固めつつあるという。


私は嬉しいとも嫌とも何とも言えない気持ちで、


それが表情に出たのだろう。


彼がなぜ医者にならなかったということですね、


とアドバイザーの方から切り出してきた。


「彼は医者になれなかったのですよ。


そのことで彼は父親に対して。


随分とコンプレックスがあったようです。


でもご覧ください。


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マリッジ・コンサルタント 山名 友子