結婚相談所物語

隠れた逸材 後編

お金に縁のない私は有るが


病の辛さというものは想像に難く、


でもA子は本当に


素の自分を見て欲しいんだなっていじらしく思えた。


そのA子が最近少し様子がおかしい。


ねぇ、奥さんが不倫して離婚した男の人ってどう思う?


なんてまた突拍子もないことを尋ねてくる。


なーに?


今度はどこから持ち出した設定なのよ


と返したけど、一度結婚している男の人って


していない人より劣ることはないわよね、


だって一度は結婚できてるんだもん。


と天然ぶり発揮の論理。


まあそう言えないこともないわねとちょっと感心した。


それできちんと離婚して


清算してるのも身辺綺麗で潔いわよね、


と更に追い討ちかけるような天然論理を積み上げる。


だから私はかまをかけるように言ったの。


A子、バツイチであろうとなかろうと


あなたがいいと思えるのならいいんじゃない?


相手もバツイチをまさかそんな風に


プラスに考えてもらえるなんて幸せだわね。


すると彼女は綺麗な笑顔を見せて言った。


こんな三十代ギリギリで


しかも三つも年上の女性でもいいかなって


考えてくれるなんて、


本当にその人、


隠れた逸材よね、


そう思わない?


来月、A子とその隠れた逸材氏との結婚式がある。


確かにバツイチであってもいい人はいるかもしれない。


そして三十代ギリギリでもいい女はいる。


A子、あなたこそが隠れた逸材なのよ。


そのことは来月の式の時に


新郎にちゃんと言っておこう。


そしてA子をヨロシクと。


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マリッジ・コンサルタント 山名 友子