結婚相談所物語

誤 算(前編)

設計の仕事を任されて真面目にやってきた。


たまの休みは海外旅行などして気ままに遊ぶ。


だけどあと数年すれば不惑を迎えるという歳になってふと思った。


このままでいいのだろうか。


親父もリタイアしたことだし


この先はお袋とのんびり年金暮らしを楽しみたいだろう。


そろそろ僕も家を出た方がいいんじゃないか?


兄夫婦も近くに居ることだし老夫婦二人っきりの方が


ゆっくり出来るんじゃないか?一人暮らしを始めるか。


うんまあ気楽でいいかも。




家を出ようと思ってる、


とお袋に話すと、


誰かいい人がいるの?と気色ばんで喜んだ。


あ、やっぱり。


黙っているけど僕のこと心配してるんだ。


これは独り身で出ていくのは余計に心配かけるな、


と思った。


僕は別に独身主義者ではない。


ただこれまでそういうことがなかっただけだ。


そうだな。


ちょっと考えてみるか。


というわけで同僚から聞いていた結婚相手紹介所を訪ねることにした。


こういうところは初めてだ。


とりあえずしばらくやってみよう。


言われるがままに自分の経歴などを書き込んだ。


それを覗き込んだ若いアドバイザーが、


素晴らしい条件ね、


たくさんお会いできるわよ、


と言ってくれた。


本当か?


次回の話を読む


マリッジ・コンサルタント 山名 友子