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〔2〕 母親の理想と娘の本音

 

 

「自慢の子」ほど、親はついてくる。

 

 優子はその日も、それを確信した。

 

「なかなかね、国際線でヨーロッパ路線っていうのはエリートらしいんですよ」

 

 母親は小鼻をひくっとさせて言った。

 

「お母さん... 」

 

 恵は母親が自慢に走りそうになるのを目で制した。

 

 優子はその様子を小さなメガネの下から上目遣いに見て微笑む。

 

エムロードには優秀で素晴らしい男性がたくさん登録されていますからね。きっとおめがねにかなう方がいらっしゃると思いますよ」

 

「弁護士かお医者様はいらっしゃいます?」

 

「もちろんいらっしゃいますよ」

 

 母親の顔がぱっと輝いた。

 

 しかし、恵は浮かない顔だ。

 

 優子はそれを見逃さなかった。

 

「恵さんは、どんな方と出会いたいんですか」

 

 恵はきっぱりと言った。

 

「私、ときめきたいんです。お見合いで、そんなこと、可能でしょうか」

 

 母親は目を見開いて言った。

 

「何言ってるの、この子は」

 

 しかし、優子はきりっと口角を上げて言った。

 

「恵さんのおっしゃるのは当たり前ですよ。お母さん、結婚は条件だけではできないんです。一生ですよ。一生、寝食を共にするんです。子どもさんを生んで、夫婦でその子を一人前に育てていく。だから、ときめいて、この人しかいないって思わなかったら、結婚なんかできないんじゃないですか」

 

 恵はうれしそうに笑った。

 

 母親はちょっと憮然としていたが、優子の言葉に小さくうなずいた。

 

 二人は丁寧にお辞儀して帰っていった。

 

 恵もその母親も、色違いで高価なブランドのバッグを手にしていた。

 

「あら、お揃いですね」

 

「この子がパリで買ってきてくれたんです」

 

 母親がうれしそうに言った。

 

 恵は恥ずかしそうにしていた。

 


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