船渡御を見、夜店を回って、コンチキコンチキとお囃子でにぎわう天満宮にお参りして歩き疲れた3人は花火の見える高さの店へ入った。
大木が調べに調べて予約した店だった。
ずどーん、と音がして、ぱあーっと炎の花が咲く。
それを追いかけるように、またずどーんと音がして、ぱぱぱん、と花が咲く。
「めっちゃきれい」
「ああ。きれいですねえ」
そう言いながら、大木が見ていたのは恵の横顔だった。
さっきまではしゃいでいた愛美は、歩きつかれたのか、大木の脇で眠ってしまっていた。
「恵さん、今度、実家へ一緒に行ってもらえますか」
恵は驚いたように花火から視線をはずして、大木の目をじっと見つめた。
落ち着いた眼差しだった。見ているだけで安心できた。
正直、最初は子どもがいることにためらいがあった。
けれど愛美に会った今日、恵の不安はほとんど消えていた。
「もちろんです。うちの親にも会ってください」
恵は大木の瞳をじっと見つめた。
大木はあわてて花火に目をやった。その瞳が少し潤んでいたのを恵は見てとった。
大木の分の照れ隠しをするように、恵が弾んで言った。
「ほら、大木さん、すごいのがあがりました」
「ほんまや。今日一番ですね」
人生で一番の花火が、二人の心に同じように響いていた。
おしまい
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