二度、三度と、亮一は二人の別なタイプの女性とデートを重ねた。
初田百合とは、無難な和食、それから昔からある洋食の店に誘った。
そんな店が百合との時間にはよく似合う気がした。ほっこりする、というのだろうか。
百合は必ず待ち合わせの時間の30分ほど前に来ていた。亮一はいつも遅れがちで、彼女が待っているという状況が続いた。
「いつもごめんね」
そう言っても百合はにこやかに首を振った。
「大丈夫です」
二人の会話はいつも適度な笑いと適度な和やかさに包まれていた。
しかし、何か物足りなかった。
百合はずっとここにいてくれる。だから亮一が追いかけたり気をひいたりする必要がないのである。
対して、里奈は違った。
二度のデートとも、待ち合わせに遅れてくるのは里奈だった。
「ごめんなさい」
あっけらかんと言っては、すぐにそのことを忘れるようだ。そして大きな笑い声や長い腕でアクションたっぷりに話す姿に、亮一も遅刻のことなんか忘れてしまうのだった。
一緒に会っていても、仕事だろうか、友達からだろうか、電話が入ることがあった。
「ちょっと待っててくださいね... あー。里奈です。すみませーん... 」
そう言って席を離れてはすぐ戻ってくる。
白ワインが好きな里奈とは、二度ともイタリアンレストランだった。
「で、亮一さん、結婚相談所って、似合わないですよねー」
ほろ酔いになってはそんなことを言って笑っている。
亮一は里奈には「ほっといたら誰かに取られるんじゃないか」という思いが常にあった。
この人は自分のものにしておきたい、そう思わせる何かが里奈にはあるのだった。
「結婚向きなのは百合さんなのかなあ」
そう思いながらも、なぜか里奈のことばかり考えるようになった。
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