二つのお見合いのうち、亮一が先に会ったのは薬剤師の初田百合とからだった。
百合は白い肌につぶらな目が印象的だったが、小柄で、どちらかといえば会ってみると地味な印象だった。
化粧っけのなさが、彼女の28歳という年齢をもっと若く見せた。
医療関係に従事する女性は、プライベートでは派手な印象をもつ人と地味な人の両極端が多い。亮一の数年間の病院勤務経験から察するに、彼女は後者のように思えた。
「今はどちらに?」
「東灘の深江にある、小児科専門のクリニックの薬局を手伝っています。けっこう忙しくて」
「そりゃ大変だ。うちはうちで土地柄か、老人もめっきり多くなりました」
お互いの仕事の話をしていると、なんだか同じ場所で働いているような空気感が漂った。
亮一はずっとこのままいても嫌じゃないな、と思いながらも、ドキドキする感じはないな、とも感じていた。
百合は亮一のことを一目惚れしていた。この人のそばでずっと働けたら、なんにもいらない、とまで思った。そんなことを思うのは、生まれて初めてだった。
「お休みの日は何をされているんですか」
そう尋ねられて百合は少し困った。特別な趣味というものはなかった。料理を習ったり、女友達と会ったり。そんなことが亮一の興味をひくとは思えなかった。
「私、たいした趣味もなくて... 」
亮一は自分のことをしゃべり始めた。
「ぼくは学生時代からラグビーをやっててね。今も先輩や後輩と同好会的にたまにやってるんです。でも普段はテレビを見てるだけ。百合さんとそうは変わらないかな」
やさしい人だな、と百合は彼を見つめた。
亮一はにっこり笑って、見つめ返した。
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