見合いの翌日。優子は二人のそれぞれの返事を待った。
... 言いたいことを言う者どうし。
... 親の干渉が強い者どうし。
火花と火花を見たような気がした。そのまま消えてしまうかもしれないし、うまくいけば燃え上がるかもしれない。
先に電話をしてきたのは行宏だった。
「気の強そうな人やと思いましたけど。... ぼくはお付き合いしてみたいです」
しかし頼子からの電話はいまひとつ重たいものだった。
「父親が... もっといい人がいるんじゃないかって言うんです」
優子は頼子の父親の顔を思い浮かべながら、その顔に説得するように言った。
「お父様のお気持ちはわかります。でも、頼子さん。私はあなたに言いました。あなたが気に入る人を探すと。あなたの気持ちはどうなんですか」
頼子は言葉を詰まらせた。
「河西さんは... どうおっしゃってるんですか」
「それは言えません。私はあなたの気持ちを聞きたいんです」
優子は頑として答えた。頼子は小さな声で言った。
「私は... また会いたいです。うちの三木の家まで、バイクやったらすぐやって言うてはったし。私がガーデニングやってるって言うたら、見に行くって... 」
神蔵家は兵庫県の三木市。河西家は神戸市東灘区。けっして近くはない。
それでも会いにいくといった宏行は頼子のことをかなり気に入ったのだろう。
頼子自身もそれを喜んでいることが、電話越しのいつもよりおとなしい声からも感じられた。
「頼子さん。お父さんのことは私に任せてください。あなたが気に入ったのなら、また彼に会ってみてください。結論はまだまだ先でいいんですから」
優子はお見合いの表の、両方の空欄に◎をつけた。
◎にしてみせる、という思いで。
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